APOから、8つのスト−リー

7月4〜18日にかけて、僕たちはワールドベンチャーの本拠地であるコロラド州リトルトン市で「Appointee Orientation」(新しい宣教師のオリエンテーション、略してAPO)というトレーニングに参加してきた。この2週間は、期待を大きく上回るほど、充実した時間となった。そこで体験したことを、8つのストーリーとして紹介したい。

1. 初めの1週間は、人前で話すトレーニングが主だった。僕たちは3分間のプレゼンテーションを準備することが課題として与えられ、他の参加者(つまり、僕たちと同じくトレーニング中の宣教師たち)の前で何度か練習を重ねた。1回目の練習を終えた時、キャサリンはひどく落ち込んでいた。睡眠不足と、子供たちと(頻繁に)離れなければならないことへのストレスが重なり、さらに人前で話すプレッシャーが彼女に重くのしかかっていたのだ。

しかし、トレーニングの半分を終えたところで、他の参加者と一緒に、キャサリンも、100人以上もの聴衆の前で証をすることができた。しかも、とても上手くできた。神はこの経験を通して、目に見える形で、彼女の歩みに働きかけてくださった。ワールドベンチャーでの2週間を終えて、キャサリンはキリストにあってさらに強く、確信に満ちた女性として戻ってきた、と僕(ジェイミソン)は思っている。

それだけでも、今回のトレーニングは十分意味のあるものとなった。

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2. いよいよステージで3分間のプレゼンテーションを発表するという時、ワールドベンチャーのリーダーたちが僕たち全員をある部屋に集めて祈りの時を設けてくれた。そして、イエスと弟子たちを憶えるため、彼らはたらいと水差しとタオルを運び込み、参加者一人ひとりの足を洗い始めたのだ。この儀式には、僕たちが2週間を通して見てきたことが表されていた。それは謙遜だ。ワールドベンチャーのリーダーたちは、この時だけでなく、トレーニング中ずっと、謙遜な姿勢で接してくれたのだ。

キャサリンとは幾度となく、「自分たちを日本へ送り出してくれるのが、ワールドベンチャーで本当に良かった」と互いに言いあった。僕たちにはとても心強いバックアップが与えられている。

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3. エズラはすぐに友たちを作っていた。赤ちゃんのルーク(5ヶ月)とコラ(10ヶ月)は特にお気に入りの遊び相手だったようだ。ある朝、朝5時に起きたエズラは僕の上に這い上がり、こう言った。「パパ、ルークちゃんはぼくのおともだちだよ。ぼく、ルークちゃんがだいすきだよ。」 またある時もこう言っていた。「コラちゃんってとてもかわいいんだよ。小さい歯があるんだよ。」 エズラの2週間は、大体こんな感じだった。彼はいつの間にか、赤ちゃんたちのまとめ役になっていたようだ。

4. あぁどうしよう。ここに紹介したい人が多すぎて選べない。7月4日からのトレーニングで出会えた人たちをみんな紹介できたらいいのだが…。マイケルとクリスティーは、2人の可愛い娘さんたちとバンコクに遣わされることになっている。彼らとは毎日隣同士で座り、すぐに打ち解け合った。本当に素晴らしい夫婦だ。僕たちはほぼ毎晩夜更かしして、他の3組の夫婦と共に、色々なことについて語り合った。僕たちと同じく日本に遣わされる夫婦、日本に行きたいと願っている夫婦、そして、日本からは離れているが心は僕たちの近くにあり続ける夫婦が、その場に集まっていた。どの夫婦・家族も、この先何年も、何十年も喜んでこの歩みを共にしたいと思うような人だった。

どうか彼らのためにお祈りください。彼らの家族と、サポーターたちのために。他にもAPOで出会った人たちについても分かち合いたいので、興味があればぜひ僕に聞いてください。

5. 7月11日土曜日、僕たちは結婚式に出席するためにコロラド州のウィンターパークへ向かった。(クリスとナタリー、僕たちのトレーニングに式の日程を合わせてくれてありがとう。) 式と披露宴は山の頂上で行われたので、僕たちはスキーリフトに乗って、夕日が沈むのを背に上っていった。結婚の誓いを交わすのに、これほど素晴らしいロケーションが他にあるだろうか。僕は自分たちの結婚式で読まれたみことばを思い出した。「たとい山々が移り、丘が動いても、わたしの変わらぬ愛はあなたから移らず、わたしの平和の契約は動かない。」(イザヤ書54章10節)

そしてこの結婚式に参列できるようにと、トレーニングの後半子供たちの面倒を見るためにわざわざ飛行機で来てくれた僕の両親に本当に感謝している。お陰で、僕とキャサリンは結婚式の前にハイキングデートもできた。

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6. 僕の両親の話が出たついでだが、今回のトレーニングは彼らにとっても有意義だったと思う。そして彼らがいてくれて、僕たちも嬉しかった。もちろん、子供たちの世話をしてくれたのはとてつもなく大きな助けだったが、それだけでなく、彼らがいてくれたことで、宣教師としての人生につきものである家族と別れる寂しさに、少しずつでも心の準備を始めることができた。僕たちがステージに上がって証をする時、僕は「見たら泣いてしまうから、絶対お母さんを見てはいけない」と、自分に言い聞かせていた。

お父さん、お母さん、しばらく会えないのは本当に寂しいよ。でも僕たちはイエス・キリストの名のもとに、行くと決めたんだ。辛い時もあるだろうけれど、離ればなれになるという犠牲を払ってでも、きっとその価値はお互い分かっているはずだから。

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7. トレーニングも終盤に差し掛かったある日、TCK(第三文化の子供たち)のみんなに、「Life is a Pair of Ducks」(人生にはサプライズがいっぱい)と書いてあるTシャツが配られた。同じTシャツを着ている子供たちを見て、僕は改めて、我が子も今や新しいコミュニティーの一員になったのだと実感した。彼らはこれから、完全には馴染めない場所で育ち、また違った文化で別の意味で馴染みのない「ふるさと」を持つことになるのだ。TCKのコミュニティーは、彼らが一番受け入れられる場となるだろう。彼らは世界中に友だちを持ち、サプライズに満ちた人生を共に歩んでいく。

そんなことを考えていたら、ふと、微笑ましい場面に遭遇した。エズラが年上の子供に駆け寄り、こう声をかけた。「ねえ、みて。ぼくもアヒルさんのシャツきてるよ。」

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8. ワールドベンチャーを出発し、空港に向かう途中、エズラはこう喚いた。「まだコロラドにいたいよ。ここが好きだもん。」 その声からも、彼が本当に悲しみに取り乱しているのが分かった。言葉にはしなかったが、僕も同じ想いだった。もちろん、2週間ぶりに我が家に帰るのは嬉しいことだ。しかし同時に、ワールドベンチャーもまた、僕たちの我が家になりつつあった。

APOで共に過ごした人は皆、家族のように感じる。おそらく多くの参加者とは、これから先何年も会えなくなるだろう。中には、この地上にいる限り二度と会えない人も少なくないと思う。親しくなった兄弟姉妹と顔を合わせられないのは寂しい。

しかし、彼らが世界のあらゆる所でイエス・キリストの福音を伝えることを考えると、これほど大きな励ましはない。そしてこれを読んでいる皆さんにとっても、彼らの働きが励ましとなりますように。

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